玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

はじめての女川⑦





役所では相談役の元校長先生や課長さんまで同席してくださって、町の現状を伺ったり今後の支援活動についてのご相談もできた。「駅前のまちなか交流館で、何かアートサポート活動ができるかもしれない」と車で案内してくださった。復興のシンボルとして何度も報道されている立派な駅前の「シーパルピア女川プロムナード」は異空間でハイカラだった。「スペインタイルの「みなとまちセラミカ工房」へ寄ってからえくぼハウスへ帰ります。」とお礼をいうと、「オーナーの阿部鳴美さんは同窓生だから。」と紹介してくださった。
ビビットな色合いの店内で、私のポートフォリオをお見せすると「いま店をやれているのは、造形大の千住さんから窯を贈られたからなんですよ。」と、思わぬところで繋がって話が弾んだ。
「絵が描ける人がうらやましいわ。私たちはタイル職人としての技術はあるのだけれど、デザインは地元のイラストレーターに頼んだりしているの。」とおっしゃるので、「私の絵でよかったら、コラボさせてください。」ともちかけてみた。「体験制作されてはどうですか?工程がわかったほうがよいと思うので・・」「ニュースで見ました。二枚制作して、そのうち一枚は商店街に飾られると聞いて、最終日に来ようと思ってたんです。」早速、翌日朝九時で予約をいれた。特別なご好意で、店のスタッフさんが近くの保育所にこどもを預けたあと、コバルト民宿まで迎えに来てくださることになった。
店を出たあとも「強運の出会いドラマ」は続く。はるか向こうの交差点で右折しようとするタクシーが、信号待ちをする私を見つけて止まってくれたのだ。急いで乗り込むと、なんと三時間前に、えくぼハウスから体育館へ送ってくださったタクシー運転手さんだった!
「どうでした?」と気遣ってくださるので「まだどうなるかはわからないけれど・・もしかしたら、今度は仕事で来れるかもしれません。」と話すと、「やっぱり頑張ってる人のことは、ちゃんと神様が見てるんだね、良かった〜。」と我が事のように喜んでくださった。よそ者には警戒心を抱くけれど、いったん」心が通じ合えば、とことん親切な東北人の気性に触れられた気がして嬉しかった。

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