玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

はじめての女川⑥



コバルト民宿で朝5時に朝食、その足でえくぼハウスへ向かうと、畑の紫蘇とハーブが腰の高さにまで生き生きと育ってカボチャやトマトも美味しそうになっている。このままスケッチしたい衝動に刈られるが、昨日のやり残しを完成するため、預かった鍵で開けてとりあえず上がらせてもらう。初訪問を記念して、寄贈させてもらった「一願成就」椿の額絵が朝日に光って見えた。ギリギリまで皆さんへのプレゼントを描きたいが、11時には体育館に仮置きされたままの市役所生涯学習課で「すばらしい女川を創る協議会」の斎藤会長さんとお会いする約束だ。タクシーを予約しておこうと電話して驚いた。なんと、町には5台しかタクシーがなく。午前中はほとんど原発へ向かうという。終日予約不可で、電話した順番に配車されるシステムだ。運が悪ければ一時間以上も待つことに・・・
たまたま忘れ物を取りに来られた手芸担当のスタッフさんに「ちょっと困ったことになった」と告げると、機転を利かせて、隣の家の方がタクシーの運転手さんだからと連絡してくださった。小さい町なので話は早い。私が出戻り制作していることを知ったご近所のメンバーさんが、差し入れを持って作品を乾かすお手伝いに来てくださってとても有り難かった。
浦宿から女川までは一駅、車でわずか5分だが、電車や町民循環バスは一日4本しか走行していない。歩くのは得意だが、国道は狭くトラックの嵐。繰り返される道路工事で歩道はあったりなかったりと不安定。舗装されていない道も多く、自転車も歩行も困難だ。この辺りの交通事情も、他府県からの観光客が伸びない事情のひとつかもしれない。翌日、石巻へ向かう車中の一期一会で「震災ボランティアに入った娘に勧められて足を延ばした」と東京から仙台七夕祭りを見に来られていた女性も「女川駅前モール以外、どこへも行けなかった」と残念がられていた。

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