玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

⑬千秋楽 箱根湯本「北条早雲足洗の湯 元湯 和泉」さんとのお出逢い


 元箱根から1号線経由で旧街道を走る登山バスは「座席から落ちるのでは?」と心配になるくらい左右に大きく揺れながら懐かしの箱根湯本に到着。大きな駅には必ず隣接している個人旅行のお助けガイドとしてお馴染みの観光案内所だが今回はネットでは分かり辛い距離感や地元に愛されるおすすめ処が出発前に知りたくて初電話してみたところ、対面と変わりない親切な対応に改めて素晴らしさを知った。御礼に立ち寄ると旅の締めくくりとして楽しみにしていた「天然温泉ご入浴・休憩処 和泉(いずみ)」さんの割引券と「商店街から歩いてすぐですよ。」と簡単な地図もくださった。
 
 
 新旭橋を渡ってすぐの和泉さんはすごい岩山に隣接していた。「熊野権現直下より湧出する箱根最古の源泉」を含めて「美肌の湯」等7つの源泉かけ流しが楽しめる…パンフレット通りの立地で期待が膨らむ。


 中に入るとロビー内壁は岩盤そのもので、大岩に開けられた「横穴源泉跡」として保存。明治時代に手掘りで掘り進み岩盤の亀裂から自然に湧き出している温泉を集めたという珍しい箱根一古い元湯とあるが、「温泉は生き物なので管理が大変」と九州の湯治場でよく聞かされたので大切に守られてきたご苦労がよくわかる。



 落ち着いたロビーには重文指定「石曳図屏風」の部分絵や、父の本棚で見覚えのある昭和漫画家さんのサイン入り原画が幾つも額装展示されていて「ここは元は旅館だったんだなあ。」と気付く。「北条早雲足洗の湯」跡など歴史を感じさせる空間演出にも親近感を覚えて更衣室へ。
 予想通り余計なものは何もない。シンプルな内湯に洗い場と外湯が二つ。お湯はとびきり上等美味。特に「美肌の湯」(男女日替わり制なのでご注意)は柔らかくてまったり。長湯できてトロトロ眠くなってくる。唇にお湯が当たってふっと見上げると、常連さん?可愛い小田原らしい奴さんのイラスト入りタオルを頭に載せてはるではないか!「私も欲しい…」と胸が高鳴る。

 お土産話以外のモノは買わない主義だが、来年中1になる孫が「お絵かきばあば、箱根いいなあ。僕、寄せ木作り体験したいんだ」と羨ましがってましたと嫁から聞いていたのでコースターキットを購入。ついでに私にはプチプチチャームを。これからはいつも一緒に歩いて思い出せる。が、このタオルは別物、どうしても欲しい!白くて薄手の温泉タオルは屋号が書かれていて記憶力が超悪い私もロゴを見ると不思議と全てが蘇る。再訪するときのためにも擦り切れてもいつまでも捨てられない旅の思い出なのだ。
 そんなこんなで興奮したまま帰りの深夜バス金太郎号乗車のためにメイクも落として楽な格好に着替えてフロントへ…「温泉が大好きで京都から箱根まで来ました。源泉かけ流しの素晴らしいお湯をありがとうございます。飾ってある絵も素敵なのでお写真撮らせてもらってもいいですか?それから他の方が持ってらしたタオルが欲しいのですが?」と尋ねると、「まあ、はるばる京都から?素敵な御召し物ですね。」と誉めてくださったのでお決まりの自己紹介。すると、「えっ?絵描きさん?亡くなった父の引き合わせかも?絵が大好きで色々集めてたんですよ。」とお話が盛り上がり楽しい時間が過ぎていく。「これのことかしら?」とわざわざ袋を開けタオルを広げて絵を見せてくださった。「これです!一枚戴きます!お幾らですか?」というと、「ご縁に感謝して差し上げます。」「ええ~っ?いや、それは申し訳ない…」と言いつつお礼状のためにお名刺交換して念願の奴さんタオルを有難く頂戴した。すると、「個展案内、是非ご連絡くださいね。京都へは毎年一度は参りますので…こんなに素敵なんですもの、是非、こちらでも個展なさって欲しいわ…」

 そのうちに大きなゲジゲジが出没して退治劇、グループさんご来場と忙しくなってこられたので源泉横穴の前で記念撮影をしてもらって心もカラダもあったまった私はルンルンで湯本駅に戻った。蜂蜜アイスクリームとお水を戴き電車に飛び乗って小田原駅へ。

 バス乗り場直結の地下街で女将さんお勧め海鮮丼で腹ごしらえ。帰宅後の朝食には小田原の蒲鉾を購入。

 乗り場が分かり辛くてヒヤッとしたけど金太郎号乗車!「おやすみ」
 

 連載13回目にして5泊5日「女描き絵師の箱根一人旅」無事にに千秋楽を迎えました。「これにて一件落着~❗」ですが、絵のご縁で結ばれた素敵な和泉女将さんと文通が始まり?続きは⑭番外編でお会いしましょう!一気にこのままアップしますね。

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