玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

「桃源郷」

春に控えている個展のメイン作品がついに完成!
150角の床机にかける230×230のクロスと二点合わせたら100号強ぐらいの大きさになる額絵との3点組み作品です。個展まで画像はアップできませんが、自分で納得できる筆の勢いにほっとして弾みがついています。お客様には少しアトリエ訪問やオーダーを待って頂いたりしながら、ほぼ一ヶ月アトリエにこもって仕上げました。
初夏に、守山の近江妙連公園の不思議なハス池に早朝スケッチに行ったのですが、匂いと色でむせ返る中、風は感じるのに音がない異空間。池の真ん中の橋に立った時、桃源郷が湧き出て鳥のさえずりが聞こえてきたような気がしました。色とりどりの春秋の果物とその花、舞い飛びながらついばむ美しいルリビタキ。それぞれのモチーフは一年かかって、しっかりと現場でスケッチした印象がカラダの中にあったので、私の五感の中で勝手にシャッフルされて湧き出てきたのかもしれません。早く描きたくて仕方がないのに、イメージはなかなかカタチになりませんでした。夢か現か、作品から音が聞こえてきたら言う事なしですが、そこはまだまだ・・・
個展に来てくださって私の大きな作品を観て下さった方にしか、文章では伝えにくいのですが、私の絵には、独特の視点というか、時間も事実と空間を越えているところがあります。たとえば、トレードマークでもある聖護院鏑。花が咲くときには大根は土の中で腐りかけているし、葉っぱも美しくありません。でも、それをひとつの画面に一緒に生き生きと描きたい。デジカメとパソコン修正の進歩に対抗しているわけではないけれど、人の手とマルチアイでしか描けない一点モノのアナログ作品を目指しています。
卒業制作や今までの個展では、自然の中で感じた旬の美しさと命の元である植物の根っこを描くことで、足元の大地を見つめ直して地球と仲良く、みんな幸せに生きていきたいという輪廻転生のすばらしさやエコロジーの大切さをテーマにしていました。在学中にデビューしてから5年、4回目の個展では、同じ気持ちで、またちょっと違う表現も発表したいと思い、今回は自由に飛びまわれる鳥になって空から美しさを探してみました。

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