玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

なでしこ

抗がん剤で髪が抜けてきたから、お見舞いには来ないでね。来月やっと手術が決まったの。病院抜け出して勉強会にも出かけたし、来年も申し込んだからね・・・」と古い大切なお友達先生から気丈な明るい声で電話がありました。自分の体験と重なってリアルに二年前を思い出し、痛いほど事情も気持ちもわかりました。なんとか心を込めてお見舞いの気持ちを届けたいと思い色々考えました。
「帽子は痒くて嫌」とこぼしておられたので、肌触りの良い上質のシルクで、大判の正方形スカーフを縫製してもらい、「先生の好きなピンク色でお花を画面いっぱいに描いて頭を包んでもらおう」と思いました。モチーフ選びは、ゲンを担いで慎重に探しました。花言葉が「元気な女性、お見舞い、勢い、向上心」など、ジャパンの活躍で急に脚光を浴びている撫子の花は、その名前「撫でし子」から「大和撫子」など美しくたくましい女性を表し、私にとっては先輩ママで、凛と潔く、働く女性のお手本である先生にぴったりだと思って決めました。
どこをどう結んでも顔周りに明るい花色が出るように、たとえノーメイクでやつれていても浮かないように、葉っぱは少し彩度を落として勢いよく描き、小さな蛙と先生の仕事道具のハサミなども添えました。
「絶対に乗り越えて元気になって欲しい!」そして先生からのメッセージは、私も含めて恐らく全てのガン患者が思っていること、「お誕生日に定期健診にでかけてください」という一言です。

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