玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

「百鬼夜行」展

高台寺は、北政所ねねさんが夫秀吉の菩提を弔うために建てられたお寺ですが、円徳院、掌美術館とともに、なかなか見所のある空間です。枯山水のお庭や龍の姿をした渡り廊下やお茶室、襖絵や蒔絵など調度品も盛りだくさん。そして幽霊の掛け軸が幾つかあるので、毎年お盆にはおまつりされて、お線香があげられます。合わせて、今年は「百鬼夜行展」が今月一杯開催されています。
日本の絵巻物は、世界に誇れる芸術だと思います。見えている部分は、絵には適さない高さの低い細長い画面なのに、巻物をほどくことによって、どんどん時空間でつながっていく発想は、とてもユニークで西洋にはない独特のフォーマットではないでしょうか。
私は、5年位前に、納骨厨子のお仕事のリサーチで絵巻物と出逢いました。漆に金箔をほどこした扉の内側に、閻魔大王最後の審判図と獄卒の鬼を描き、お骨を安置する箱の奥には蓮と散華蓮と五色雲を描き、その合間をレリーフの天女が舞い上がる・・・という仏壇業界始まって以来の凄いオーダーで、私が、その厨子の絵を全てお引き受けしました。そのときに、滋賀県立図書館(日本で1,2を争う充実度といわれています)に通って、六道界を勉強したのですが、三井寺所蔵の絵巻物なども特別室で手袋をはめて見せて頂きました。字の読めない一般の者に、仏教の教えを説くためのものらしいのですが、全く文字はなく、絵だけでどんどんお話が進行していって、見る者の心を強く打ち、なんて面白いんだろう!と、それ以来ファンになりました。「百鬼夜行」の絵巻物も何度も展示ケースの端から端まで眺めては戻り「巧いな〜」と感心して楽しみました。
画家として、「一作品でも後世に残るモノが描けたら素晴らしいな。」と思います。

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