玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

描き絵との出会い②

卒業制作で迷い苦しんでいたとき、ツツジを描いたハンカチ4枚をつなげて身にまとい、妙法の山と合体したり、鯉のぼりを描いて着て滝に打たれて撮影発表しました。「お前は着て見せたいのか描きたいのかどっちだ?」と波紋を呼んだことは、今でもお世話になった教授とお会いすると酒の肴にされます。
当時は評価が気になって「どちらもです!」と言えませんでしたが、子どもの頃から母お手製の服を着ていたせいか、丹精込めて自然を描いた柔らかい綿や絹の布を肌につけていると、無条件で愛されているような幸せな安心感に包まれたのだと思います。
結局、写真集で卒業することはできませんでしたが、「365日描き絵を着て暮らす」というパフォーマンスのきっかけになりました。10年たった今でも、当時のように全身とはいきませんが、バッグやスカーフ、帽子、スニーカー、Tシャツやデニムなど何かしらの作品を身につけて出かけます。
自らモデルになって「いつでもどこでも展覧会」状態で歩くことは、公私がなくストレスを感じるときもありましたが、もともと「描き絵」という衣裳文化は、商家や武家のお洒落な女性が琳派の絵師にオーダーして、贅沢に描かれた小袖(キモノ)をまとって町歩きを楽しむことですから、ルーツをたどれば描き絵はお洒落な自己主張であり、アートであり、コミュニケーションツールであったといえます。
先日も電車の中で、オーストラリアから里帰り中の初対面の女性と「素敵なお鞄!お洋服とお揃い?」と思わぬ話が弾み、降りるのが惜しいような楽しい一期一会を頂きました。

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