玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

はじめての女川④





午後からは、お手持ちのハンカチやストールに即興で描き絵してプレゼントするパフォーマンス。
中には、知らずに参加してくださった方もいらして、とても残念がられたので、急遽ご着用の白っぽいTシャツやパンツを脱いで描かせてもらうことになった。絵柄は、オーダーと同じように、お一人づつゆっくりお話ししながら好みを聞きしイメージを膨らませる。体型や顔立ち、その方の雰囲気に合わせた鉄線やバラ、椿、えくぼ畑のハーブなどを、下絵なしで目の前で一気に描いていく。しんとしたえくぼハウスの中で、子どものようにキラキラと目を輝かせ、私の手元を見守って待ってくださるのが有り難かった。
「墨だけでも十分いいと思ったけど、やっぱり色が入ると、まるで命が吹き込まれていくみたいだねぇ」「すごいねぇ、世界でひとつだけの一点モノだもの、有り難いねぇ。着るのがもったいないねぇ。でも、来週の集まりでみせびらかしたいねぇ」と、一緒に喜んでくださった。
「誰かの笑顔が見たくて、描き絵で私がやり続けていけることは、やっぱりこれかもしれない。」と、心が洗われる思い。つい、調子に乗ってリクエストに応えているうちに、閉館時間オーバー。焦る私に「明日はハウスはお休みなので、あなたに鍵を預けるわ。このままにして、一旦、宿舎に帰ったら?あなたが大丈夫なら、好きな時間に来て続きを描いたらどう?午後からは私も時間があるので、ゆっくり二人でお茶しましょうよ。」と遠藤さんの計らいで、染料や筆など道具を広げたまま一旦お開きとなった。
肩はパンパン、腕も張ってるなあ、と気づいたのは帰り道。クタクタで徒歩10分、コバルト民宿さんへ戻る。隣は町に一軒のドラッグストアで、持ち込み可能の缶ビールを購入できて便利だ。料理自慢の女将さんが、超笑顔で「お帰りなさい!今日も暑いから大変だったでしょう?毎日偉いねぇ。先にシャワーでさっぱりして、ゆっくりご飯にしてください。いっぱい食べてね。」と海のもの山のもの日替わり五品の大盛りおかずと熱々の白米、東北独特の塩辛いお味噌汁で出迎えてくださった。

掲載画像の著作権は全て(C)玉城和美にあります。 「玉城和美の描き絵空間」は特許庁認可済(商標登録第5483574号)