玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

「2012年玉城和美描き絵空間展」会場風景④


『縁結び紫大根』 綿綾織布 額装 墨と顔料染料で描き絵
『白菜ドレス』 綿帆布タペストリー仕立 墨と顔料染料で描き絵
どちらも、手術半年後、2009年初夏から秋くらいの作品。当時は甲状腺機能低下が激しく、寝たり起きたりで、日時感覚などの記憶があまりありません。
『縁結び紫大根』との出会いは、しんどいからといって、このままじっと寝てばっかりでは、息はしていても腐るように心が死んでしまうからだめだ、と自分に言い聞かせ、とりあえずスケッチブックとカメラを持って、近くの畑に散歩に出たときです。土の中から見えた赤い塊と生き生きした深い緑の美しい葉っぱ。大根かカブラかわからないまま、感動の勢いで座り込んで描いていたら、生産者の方がお宅から出てこられて、「こんなの描いてるの?珍しい人だねえ。そんなに気に入ったならあげるよ。」とずぼっと畑から引き抜いて下さったら、なんと根っこが三椏になって・・・土付のまま抱いて帰り、机に置くと、なんだか妙に艶かしい裸体のような魅力にとりつかれ、しなびるまで三日間毎日スケッチしました。その後一ヶ月かかって布に3枚は描きつぶしたでしょうか。ようやく4枚目で、思い通りに仕上がったとき、再び本画が制作できた喜びを今でも鮮明に思い出します。
会場では一番人気で、何人かの方に価格を尋ねられましたが、これは、今はまだ、どうしても手放せない一枚です。
『白菜ドレス』は、同じ畑でみつけたモチーフ。種を取るために放置されて、子どもの背丈くらいあり、白菜だと気づくまで、しばらくかかりました。

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