玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

女川えくぼハウス訪問⑥

嬉しい電話がかかりました。私と女川との原点、造形大の「アートサポートプロジェクト」で仮設住宅に贈った一枚の「赤蕪」の絵をもらってくださった鈴木さんご一家が、津波で流された土地に再建してご夫婦で御住まいなのですが、7時間の電車の旅の終着点、女川駅まで同居している68歳の妹さんの車で迎えに来てくださり、そのまま新居へ招いてくださるというのです!
この五年間、時々お便りのやり取りをしていつも私の方が元気を頂いていました。「新居へ赤蕪を持って行きたい」「無事に玄関に飾りました」というお葉書を最後に、ここしばらくは体調を崩されたようで、ちょっとご無沙汰でした。「私は車も土地勘もないし、お宅訪問と「赤蕪」再会は叶わなくても、女川駅界隈でお会いできたら嬉しいです。」と到着時刻と電話番号を記して手紙を送っておいたのでした。
鈴木さんは81歳。初めてお聞きする声はしっかりと明るく活力に溢れ、とても温かかったです。「改札口はひとつだが何か目印はありますか?」まるで昔の雑誌に載っていた顔も知らない方との文通相手とデートする気分です。「大きな紅いスーツケースと帽子から鞄まで全身「葡萄」の絵で包まれております」とお答えすると電話の向こうで女性陣の明るい笑い声が聞こえました。

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