江戸時代に絹の小袖(打ち掛け)に筆で直に描かれた尾形光琳と酒井抱一の描絵作品が二点展示された、今回の琳派400年記念展ですが、会場に5時間くらい、るんるんでおりました。当時の女性は小柄だったのですね。寸法が小さく、こじんまりと丁寧な縫製で、肩や袖が刷りきれていて、大切に愛されながら着用されたことが伺えます。
また、よくみると背のところの墨線が、縫い目で一度引っ掛かったような跡や、肩の部分にためらい線、二重線なども見受けられ、仮縫いもしくは縫製された着物に、ほぼ下書きなしで、一気にのびのびと書のように描かれたように思いました。
私が提案している「玉城和美の描き絵空間」も現存するこれら二点の資料をもとに、わかる限りの同じ手法で、なおかつ洗濯に耐え得るように制作しています。
また、花鳥風月など旬のモチーフや、自然の移り変わりの美しさをみつけて、身の周りのもの全てに描いていくという同じテーマとコンセプトで、平成の暮らしに合わせてアレンジしています。
おこがましくお叱りを受けるかもしれませんが、京都生まれの京都育ち、子どもの頃から浴びるように受けてきた琳派意匠の恩恵に感謝して、その流れを、私流にアレンジして、少しでも伝えていけたら、と決意を新たにしています。