玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

仏具彩色お化粧直し

毎年、お彼岸前になると急ぎ納品で入ってきます。先祖代々、大切に受け継がれてきた立派なお仏壇ですが、蝋燭や線香の油煙でいぶされ、輝きをそこないます。そこで、新調するのではなく、お化粧直しをして彼岸会を迎えるのです。魂を抜いて解体されたお仏壇は、それぞれパーツに分けて、漆の塗師や金箔の張替えに出されます。
私の担当は、木地で作られた小さなレリーフ飾りの彩色です。武士やお坊さん、中国っぽい衣装の女の人や商人の姿もあります。鳳凰、虎や象など、様々な飾り達。昔の職人さんには到底かないませんが、酢酸で洗われて、僅かに残っている顔料を頼りに、なるべく同じようなタッチで、キモノの模様や色目を想像して、極細筆で顔料や金銀をのせて修復再現していきます。たまに、違う色が重なって残っていると、「今回が3回目のお化粧直しだな」とわかることがあり歴史を感じます。
今回、初めて見る変わった白髪老婆の人形がありました。能衣装と面をつけカマのような小道具を持ち、身の丈より長い布のようなものを振り回して舞っています。不思議。なんでしょう?
彩色後は元受の仏壇やさんに送付するため、残念ながら、組み直して完成した絵姿全景を拝見することはできません。あくまで部分工程を引き受けた職人としての地道な作業ですが、ロマンのある楽しいお仕事です。

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