玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

ロングバケーション 岡山

岡山県がタンチョウを保護し繁殖に力を入れていることは意外と知られていないが、歴史的には江戸時代に後楽園に飛来してきて以来、自然保護センターや、今回訪問した「きびじつるの里」など4箇所で大切にされてきた。ゲージの中にいる姿は、北海道のような野生の趣はないが、野外飼育も調査中で、将来的には、倉敷から吉備路にかけて高梁川流域を自由に飛び交って自然繁殖できるように、人の援助は最小限に工夫されている。
例えば、鳥は刷り込みといって、生まれて最初に見た姿を親だと信じてしまうが、人工孵化させるときには、飼育員が鶴の扮装をして人に求愛行動を取らないようにしたり、無精卵とわかっていても取り上げずに、母鶴の気が済むまでずっと抱かせておくそうだ。
タンチョウは、昔は中国や日本でたくさんいたので、その美しくりりしい姿は、墨絵の定番モチーフで、若冲もお気に入りであった。ご対面の感想は、その大きさと、赤い部分が羽の模様ではなくトサカのようになっていることに驚き、いつの日か、鶴たちが五重の塔周辺をゆうゆうと飛ぶ姿をスケッチできるようになったらいいなと思った。
岡山県の壮大な計画構想の一部なのか、県名どおり、昔話のように延々と続くなだらかな山と広大な丘のあちこちに、赤みがかった大輪の華やかな八重の、花桃のような見事な桜がたくさん植樹されていた。

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