玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

ロングバケーション 児島から吉備津へ

夕日の美しい児島は、その昔、瀬戸内に浮かぶ島だったという。はるばる北海道からニシンを積んでやってくる北前舟の港町でもあった。一見狭くて小さい穏やかな瀬戸内海は、海路で広く世界と結ばれていたのだ。だから、来島海峡に日露戦争で備えた大砲があったのだと気付く。
清盛がなぜ厳島に都を築こうとしたか、尾道の古寺のゆかりや、しまなみ海道大三島大山祇神社に平家、源氏、足利家と名だたる武将が、武運を祈ってたくさんの太刀を奉納していること、四国の象頭山の頂上にある金比羅宮に、航海の無事を祈って海の神様が祭ってあることなど、今回の長い旅で、自分の足と目でみつけた不思議なご縁の数々が、全て腑に落ちたのである。まさに、頭の中の点と点が、一本の線につながった瞬間だ。
私は、こういう楽しみを造形大の空間演出デザインコースオリエンテーション「街歩き」や「器の旅」という課題でつかんだ。デザインを起こしたり、絵を描いたり、モノづくりを学ぶには、本や情報などの一次的資料だけではなく、フィールドワークという現場でのリサーチや観察で得る感覚とをすり合わせることがとても大切だ。旅は、いつも「?」と悩む私に「!」を与えてくれる。
児島で疲れを癒し、友とは別れ、岡山吉備津へ丹頂鶴に会いに行く。

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