玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

ロングバケーション しまなみ海道

誰がこんな美しいつり橋を次々と架けたのだろう。神話そのままの世界、瀬戸内。海と空と小さな島じま。コンパクトにまとめあげられた箱庭のような風景。人の頭から生まれでた人工物と、大自然との調和は、空間演出デザイナーならば誰しも憧れるが、実現はでとても難しいことだ。
「理にかなった形は美しい」と証明するかのような巨大な橋。実際に目の前に立ち、渡り、360度パノラマで景色を眺め「すごいなあ。」と感動。何をいまさらだが、日本のモノづくりの技術の高さと豊かさをしみじみと味わい、パワーをもらえた。こんなにも心地よく景色にマッチする道路もあるのだと、私は知らなかった。無謀な夢を実現するには、目的をシンプルに、過剰なデザインは一切そぎ落として究極の形をとらざるを得なかったので、きっと神様のデザインに近づけたのだと思う。
出身地、生口島にある平山郁夫美術館では、ゆったりとした時間が持てた。生きている間に売れる画家は数少ないが、その第一人者である大作家について、私は多くを知ろうとしなかった。なぜだか理由はよくわからないけれど、興味がなかったのだ。
学徒動員中、広島で原爆被災したことが、生き方と画業に大きくかかわっていることを初めて知り、学生時代のスケッチブックや、下絵から本画にする工程をみたり、私と同じ視点で捉えて描かれた宮島やしまなみ海道作品に触れて恋に落ちた。
美の壺のポイントに共感できたことがただ嬉しくて、単純な私はすごく素直に彼を尊敬し、好きになったのだ。ちょうど県立広島美術館で展覧会を開催中で、シルクロード作品など秀作が全て揃うと知り、旅の最終地は岡山の予定だったが、急遽、広島の宿を確保、新幹線の切符も取り直すことにして、大三島へ向かった。

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