玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

ロングバケーション 宮島2

夜になるとライトアップされる鳥居と神殿。私は、やはり満潮に浮かぶ悠然とした美しい姿が好きだ。なんと、この時期の夜に限り、屋形船で鳥居の下をくぐれるという。平安時代、京の都から清盛入道の威信に恐れおののきながら海の参道から船で上陸したであろう同じコースだ。早速港へと向かう。神事にまつわり、鳥居の前で、一度左右に廻船してから進んでいくところが興味深い。
そして、船から降りると、再び夜道を歩いて神殿の入り口まで行ってみる。灯篭の灯火は薄暗く暖かい色をしている。ライトアップされている姿を損なわない心遣いだろう。水際の石の上に腰掛け、一人静かに黙って、世界遺産、宮島空間とひとつになってみる。この体験は、数日後の平山郁夫美術館で作品を通して、ちょっと苦手だった大作家と美の共感にひたることにつながる。
古代より、島全体が弥山という神の郷。翌日はロープウエイで上がって2時間かけて頂上を目指す。乗鞍岳以来の険しい登山道だ。膝が痛み、息ははあはあと上がるが、森林浴が気持ちよい。神聖なパワーの勢いで瑞瑞しくたたずんでいる。ああ、私もまた、まだこんなに元気に生きているんだ。

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