玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

「ポンピドウ展」

天井が高く、階段などに遊びの空間を贅沢にとった美術館自体が、現代アートそのものともいえる広大な兵庫県立美術館で開催中の展覧会。二番目に気に入った作品は「エコー」という映像と音の作品。
切り立つ崖に向かって、作者がひたすらおもむろにゆったりと、短くとぎれとぎれにチェロを弾く五分間。まるで会話のようだ。こだまとは言霊だったのかと改めて気付く。
広大な空間演出で自分のすべてを表現できているところが素晴らしい。彼女が着ている赤いチュニックの背中と緑の大地とのコントラストも美しく、顔かたちが見えないのもいい。人の手によるチェロの音色と自然が創造するエコーが共鳴しあって、その場に一緒にいるような心地よい錯覚を覚える。聞き手のそのときの心境しだいでは、大地の怒りの声にも、息吹にも感じられるであろう。
ビエンナーレで銀の獅子賞をとっていることもうなづける。

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