玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

さくら

樹齢の深い美しい桜は人の生気を吸うという。
ゆえに桜に心奪われし絵描きは、その寿命を縮めるそうな。
開花してからこの数日、ひがな一日桜に向かって座わる。
朝日に輝く薄紅の花簪。
小鳥のさえずりに合わせて踊る枝先。
ときおり風にあおられ、吹雪く花びら。
そして、薄暮に浮かぶ黒い枝。
春の嵐の前触れか、陽気に押されて鶯色の葉っぱが一気に芽吹く。
大地に根を張り、枯れ木が花咲き、青々と茂り、甘い実を結んでやがて紅葉。
一生かけて、人の心を魅了し続ける桜。
満開の桜並木が気に入って、ここに暮らすと決めたのだけれど、こんなに1年中ずっと目を愉しませてくれるとは、夢にも思わなかった。
神様のデザインはなんと美しいのだろう。かなうわけはないけれど、美を写させて頂く絵描きになれて良かった。

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