玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

図案構成

一週間、半紙八枚をつなげた細長い画面と格闘、ようやくラフスケッチができました。ギブアップしなくて良かった。悩むより手を動かせ式で頑張ったけど、描けば描くほどわからなくなり、木炭一本使い切ってしまいました。お題は竹と筍。墨絵は竹に始まって竹に終わる・・古典の難しさはあるけど、2008年の初個展のときには、竹を描いた本画と6枚のストールを組み合わせた作品発表もしているので、こんなに苦労するとは思いませんでした。
恩師、京都造形芸術大学水墨研究室の教授、李康先生は、「絵は生き物、日々、作家とともに進化する。過去と比べてはいけないし、同じものも描けない。」と、よくおっしゃっていましたが、身をもって知りました。過去の作品をアレンジするのではなく、新たに描こうと、資料を片付け、竹薮にスケッチに出かけたら、すっとできました。でも、その奥には、この一週間の格闘が見え隠れして、これがまた、味わいとなって、不思議と観る人に深みとして伝わるから絵って不思議。そして作家にとっては怖いところです。
施主さんは、筍農家さん。古民家のお玄関に、天井から床まで、暗い壁の目隠しとして飾る35センチ幅2メートル長さのタペストリーで、すごく細長い画面で、土間からと部屋からでは作品を観る目線の高さが変わるので、画面構成に工夫が必要な空間でした。
自分勝手に作る作品は、あまり下絵も作らずに、ほとんど勢いで描いてしまうけど、オーダー作品は、いつも、筆を入れるまでがとても時間がかかります。だからこそ、自分も納得できるものができて、施主さんの笑顔を見られたときはホント嬉しくて、病み付きになって仕事になってしまいました。

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