玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

「夢二とともに」

京都近代美術館で開催された竹久夢二展。親交の深かった版画家川西英のコレクションをメインに、膨大な点数の幅広い作品で、大変充実した展覧会でした。こどもの頃、時々父に連れられて行った、おそらく木屋町か寺町辺りの珈琲の美味しい洋食やさんの薄暗い壁の、YUMEJIやTOGOのお人形さんのような美しい女の人の絵を観るのが大好きでした。
夢二式美人画しか知らなかった私は、彼がこんなに沢山の挿絵や表紙、ポスターや包装紙の仕事をしていることを知りませんでした。どれもこれも懐かしい匂いがしますが、今も通用するモダンなデザインで、その才能は素晴らしいと思いました。と、同時に、ミュシャロートレックのように、彼もまた、世間の評価を気にして、駒絵作家やポスター画家やデザイナーではなく、タブロー(本画)画家に憧れ、苦しんだ時期があることも初めて知りました。
彼らほど才能がありながら、生きているうちに認められながら、仕事として成立しながら、多くの画家は、どうしてジャンルや画壇にこだわるのでしょう。
猿之助スーパー歌舞伎の衣装デザインや、ミヤケイッセイのショー演出を手がけられたり、ワールドワイドな活躍をされている毛利先生は、ことあるごとに、「私はただの絵描きですから。」と潔くおっしゃっていました。そして京都造形芸術大学在学中に「自分探しの旅」に疲れ果てた私の手をとって、「あなたは何も変わる必要はない。タマキカズミ。それで良いのです。私が握手して強いオーラを送るので、あなたはネガティブな気持ちを捨てて描きたいように、どんどん描きなさい。」と言ってくださいました。そんなことを思い出す展覧会でした。
おかげさまで、昨日22日、手術後三年記念日を笑って迎えることができました。メリークリスマス!

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