玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

神様のデザイン

この二週間、ほぼ缶詰状態で個展のメイン作品と床几にかけるクロスの制作を進めています。無から有を生み出すデザインやアイディアは、ものすごく時間がかかります。頭の中のひらめきやイメージが形になるにはかなりの距離と壁があるのです。あるときふっとアートの神様が舞い降りて、構図がガッと決まります。この瞬間までが一番しんどくて神経ピリピリのご機嫌斜め、独りきりで缶詰にならないとだめなんです。当たり前のことだけど、全精力、全エネルギーで文字通り一所懸命でないとそう簡単には生み出せない。よく締め切りが迫った売れっ子作家さんがホテルに缶詰、お世話は全部アシスタントが・・・なんてシーンがドラマでありますが、なんてお幸せなんだろうと思います。アトリエで自主缶詰してたってお腹は空くし洗濯もゴミもたまるし・・・でも、そういう家事がとてもリフレッシュになり、自分で作る食事に何よりも癒されます。
私は、彩色は日の明るいうちにしかしません。蛍光灯の下では色が変るからです。秋の夜長のおかげで自然と店じまいが早まって作業時間が短くなってきたので体調も良好。今日も五時ごろお散歩がてら買出しに行って、「さすがに首が凝ってるな〜」と上を見上げたら、なんと、たそがれ空一面にほんのり赤い雲で、見事に満開の薔薇がいくつもいくつも重なって描き出されています。朝日が入る居間の網戸に写るベランダの植物の影絵と同様、「はあ〜、神様には敵わない!」と思う瞬間です。
実は、私の絵の師匠は自然界の美、神様のデザインなんです。私はそれをほんのちょっと頂いて、あの手この手で写し取ろうともがいていますが、結局は自分の審美眼を信じて、あるがままを描くのが最高だと思っています。絵を描くのが大好きで良かった、自然の美しさと向きあいながら生きていけるなんて本当に幸せだな〜と思います。

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