玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

あけび

お扇子というよりは舞扇のような男性用和装扇2点のオーダーを頂きました。オールお任せで、昔懐かしいアケビとイチジクを一種づつ頼まれました。お持込の扇はとても上質で画面も広く、裏表両面描けて構図も凝れるので、大胆な楽しい作品に仕上がりそうです。そろそろオーダーメイドはお待ち願って、個展準備を優先させていただいているのですが、偶然にも、個展のメイン作品にも登場するであろうモチーフなので、うまく両立しながら制作をすすめています。いつものことながら、色々と調べたりスケッチしたり下準備にも力が入ります。
アケビとは人間のあくびに似ていることから付いた名前で、江戸時代には種から高級油もとっていたそうです。落葉樹で茎はなく、他の木々に蔓が巻き付いていき、古い蔓は枝になります。花は春に咲き、雄雌にわかれていて、ハエかハナバチによって受粉するらしいのですが、その生態はあまりよく分かっていないようです。食べる部分は黒い種子を包む胎座とよばれ、施主さん同様、この甘さを求めて、高い木に登っていたやんちゃ坊主たちは全国に一杯おられたことと思います。
今では山形産の熟した大きな紫色のアケビがデパートの果物屋さんなどで見受けられ、皮の部分は山菜料理として油いためにで出されるようです。どうしても生えているところを描きたくて、山で自然に生えているアケビを求めてあちこち歩きました。大きくて低いところに生えているものは鳥か猿か人に食べられてしまって、高いところに小さくて熟す前のものしか見つかりませんでしたが、それでも野性のアケビのほうが甘く感じました。ちなみに私は初めて食べました。試しに種を洗ってベランダの植木鉢に埋めて、枝葉はドライフラワーに挑戦中です。うまくいけば個展のディスプレイに登場するかもしれません。
イチジクについての歴史やエピソード、扇の写真はまた後日・・・

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