玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

お地蔵様大行燈奉納


残暑お見舞い申し上げます。今年は暑いを通り越して酷暑でしたね。箱根独り旅以降ダウンするかと思いきや昨年の役員を務めたご縁で、御町内から地蔵盆の大きな行燈の絵描きを三台頼まれていた御蔭で元気よく突っ走ることができ、つり上げ予定の13日は台風で順延したものの法要は無事に終わりほっとしています。

50年使用されてきた木枠の行燈は、障子全紙の高さ94センチに横幅は2メートル近くあります。祇園さんが終わる頃から三週間毎日集会所へ通って、紙の裁断、下絵づくり、写し、骨描き(墨線を入れること)、彩色、貼り上げ。久しぶりの紙で画材など最初はためらいましたが、好きな大画面なのでひとり黙々と楽しく制作。12年暮らしたアトリエ兼終の棲家がある御町内に少し貢献できたかなと嬉しかったです。

オイルショック前の鉄骨鉄筋コンクリートも、竣工当時から地域を盛り上げてこられた先輩方も、まだまだ現役堅牢!ひ弱な私は脱帽敬礼するほどお元気な後期高齢者さんばっかり。還暦過ぎた若者(笑)と手慣れた連携プレーで二階から引っ張り上げ、絵がよく見えるように吊り下げてくださって感動です。


雨除けビニールで反射して分かりにくいので、貼り上げる前の画像をご披露致します。私にしては可愛らしい絵柄ですが、山科那須や葡萄、蓮とTAMAKIの看板モチーフもあしらっています。

六地蔵様の由来も調べて有難い仏具も持って戴き、すっかり少なくなってしまった子どもからお年寄りの皆様まで笑顔でほっこりして戴けたら…とニヤニヤしながら楽しく描き上げることができました。

最後になりましたが世話役様方には大変お世話になり、ご近所にお住いの描き絵ファン様には温かく応援して戴きました事、改めてこの場を借りて御礼申し上げます。
来年こそ子どもたちも安心して集うことができるといいですね!

⑭ 女描き絵師箱根独り旅 帰宅後一か月の余韻


 旅のきっかけは家庭画報でみつけた「岡田美術館」の特別展で若冲さんと一村さんに逢いたい一心でしたが、箱根まで描き絵衣装を身に纏って単身、深夜バス「金太郎号」で出かけた旅は有難いご縁を沢山生んで絵描きとしての私に大きな心の糧を与えてくれました。「宿場町の小田原や箱根を選んで集まる人たちは国籍や年齢性別、職業問わずフレンドリーで温かい」という第一印象のまま「行って来て本当に良かった!」の一言。
 個人名をあげたらきりがありませんが、一期一会も含めて触れ合いエピソードと訪れた場所を計13回のブログでアップ。最終回まで読み進めて戴きありがとうございました。この番外編を書いている訳は最終日に温泉タオルをくださった和泉の女将さんにお礼状と共に私の過去の個展案内状(表面にはそのときの個展メイン作品画像のみが掲載されているのでファンの方は絵葉書感覚で喜んでくださる)を何枚か送付したところ、こんなに「美しい寄木細工のお葉書」と「和泉入浴券」が返ってきたからなんです!

 「箱根満喫充実の敬礼笑顔」で5月26早朝に無事に帰宅して早くも1か月以上もたってしまいましたが、前回の最終話⑬で和泉さんのご紹介まで辿り着けたことと重なって感無量。

 物凄くお忙しい職業なのに、日本全国どうしてこんなに筆まめ美人女将様が多いのでしょう!こういう心づかいがさらりとできる大人の女性に憧れてしまいます。
 人生初のカプセルタイプのお部屋に泊まって暖炉のあるラウンジで身振り手振りのカタコト英語で楽しんだ国際交流、何度も憧れの富士山と静かに対峙してお姿をスケッチできた事、強羅公園ベルサイユの薔薇と出会えて来年五月に祇園割烹たん義さんで開催する第13回個展に出品するリメイクギターに描いてお披露目できることなども素晴らしいお土産エピソードですが、個展より短い僅か5日の間に遠く離れた箱根で書ききれなかった程の見ず知らずのお名前も伺わないまま沢山の方々とリアルにお知り合いになれたこと、一期一会の全てが私が着ていた描き絵作品から生まれたご縁で、その中から幾つかはきっと永く続いてゆくのだろうという予感が私にとっては何よりの応援で心の財産、まさに絵の肥やし。
 嬉しい副産物はこれ以外にもあり!独り歩きの緊張と一日二食効果?余分なお腹周りの体脂肪が3キロ減で5年前のパンツ作品がすきっと着られるように(>_<)なるべく同じリズムでアクティブに過ごしていますが、今のところお陰様で疲れで寝込むことなく公私ともに次の目標に向かって、まるで毎日が旅の続きのように充実。
 「文章が面白くて長くても読みやすい。」「画像が美しくあまり良くなかった箱根の印象が変わった。」「日替わりお衣装が素敵♡」「和美先生は一体どこに年齢忘れてこられたのでしょう?」と嬉しいご感想を戴き「一粒で二度美味しい」体験をさせて戴いてます。ここまでお付き合いくださった御礼と言っては何ですが…

 もしかしたら初公開しかもしれないスケッチブック。消しゴム厳禁、筆ペンでささっと印象を速描き。布に描く私独自の描き絵の師匠は琳派の先達ですが、あえてリアル師匠をあげるとしたら造形大でお世話になった歴史遺産コース教授の中国画(墨絵)画伯リコウ先生です。口癖は「速く速く、リズムリズム!貴女には音が聞こえてくるような絵を描いて着て欲しい」と雅号「姫素音」をくださいました。長いことお会いできていません。

 このブログにはコメント欄はあえて作っておりませんが、私の作家活動や「布に墨と顔料系染料で描く洗える絵画(かきえ)」に関してご質問やご感想等ございましたらブログをFBシェアしておりますのでそちらからお願い致します。FBはお友達限定公開なので「kakie613」で検索の上、トレードマーク「蕪」のアイコンまで一言メッセージを添えてご申請くださると嬉しいです。HP「玉城和美の描き絵空間」記載の公式アドレス info@kakie.jp でもOKですが、私からの返信が迷惑フォルダーに入らないよう指定ドメイン受信設定の上ご送信を。
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「ではでは、女描き絵師の箱根独り旅~、あ、これにて一件 落 着~!」

⑬千秋楽 箱根湯本「北条早雲足洗の湯 元湯 和泉」さんとのお出逢い


 元箱根から1号線経由で旧街道を走る登山バスは「座席から落ちるのでは?」と心配になるくらい左右に大きく揺れながら懐かしの箱根湯本に到着。大きな駅には必ず隣接している個人旅行のお助けガイドとしてお馴染みの観光案内所だが今回はネットでは分かり辛い距離感や地元に愛されるおすすめ処が出発前に知りたくて初電話してみたところ、対面と変わりない親切な対応に改めて素晴らしさを知った。御礼に立ち寄ると旅の締めくくりとして楽しみにしていた「天然温泉ご入浴・休憩処 和泉(いずみ)」さんの割引券と「商店街から歩いてすぐですよ。」と簡単な地図もくださった。
 
 
 新旭橋を渡ってすぐの和泉さんはすごい岩山に隣接していた。「熊野権現直下より湧出する箱根最古の源泉」を含めて「美肌の湯」等7つの源泉かけ流しが楽しめる…パンフレット通りの立地で期待が膨らむ。


 中に入るとロビー内壁は岩盤そのもので、大岩に開けられた「横穴源泉跡」として保存。明治時代に手掘りで掘り進み岩盤の亀裂から自然に湧き出している温泉を集めたという珍しい箱根一古い元湯とあるが、「温泉は生き物なので管理が大変」と九州の湯治場でよく聞かされたので大切に守られてきたご苦労がよくわかる。



 落ち着いたロビーには重文指定「石曳図屏風」の部分絵や、父の本棚で見覚えのある昭和漫画家さんのサイン入り原画が幾つも額装展示されていて「ここは元は旅館だったんだなあ。」と気付く。「北条早雲足洗の湯」跡など歴史を感じさせる空間演出にも親近感を覚えて更衣室へ。
 予想通り余計なものは何もない。シンプルな内湯に洗い場と外湯が二つ。お湯はとびきり上等美味。特に「美肌の湯」(男女日替わり制なのでご注意)は柔らかくてまったり。長湯できてトロトロ眠くなってくる。唇にお湯が当たってふっと見上げると、常連さん?可愛い小田原らしい奴さんのイラスト入りタオルを頭に載せてはるではないか!「私も欲しい…」と胸が高鳴る。

 お土産話以外のモノは買わない主義だが、来年中1になる孫が「お絵かきばあば、箱根いいなあ。僕、寄せ木作り体験したいんだ」と羨ましがってましたと嫁から聞いていたのでコースターキットを購入。ついでに私にはプチプチチャームを。これからはいつも一緒に歩いて思い出せる。が、このタオルは別物、どうしても欲しい!白くて薄手の温泉タオルは屋号が書かれていて記憶力が超悪い私もロゴを見ると不思議と全てが蘇る。再訪するときのためにも擦り切れてもいつまでも捨てられない旅の思い出なのだ。
 そんなこんなで興奮したまま帰りの深夜バス金太郎号乗車のためにメイクも落として楽な格好に着替えてフロントへ…「温泉が大好きで京都から箱根まで来ました。源泉かけ流しの素晴らしいお湯をありがとうございます。飾ってある絵も素敵なのでお写真撮らせてもらってもいいですか?それから他の方が持ってらしたタオルが欲しいのですが?」と尋ねると、「まあ、はるばる京都から?素敵な御召し物ですね。」と誉めてくださったのでお決まりの自己紹介。すると、「えっ?絵描きさん?亡くなった父の引き合わせかも?絵が大好きで色々集めてたんですよ。」とお話が盛り上がり楽しい時間が過ぎていく。「これのことかしら?」とわざわざ袋を開けタオルを広げて絵を見せてくださった。「これです!一枚戴きます!お幾らですか?」というと、「ご縁に感謝して差し上げます。」「ええ~っ?いや、それは申し訳ない…」と言いつつお礼状のためにお名刺交換して念願の奴さんタオルを有難く頂戴した。すると、「個展案内、是非ご連絡くださいね。京都へは毎年一度は参りますので…こんなに素敵なんですもの、是非、こちらでも個展なさって欲しいわ…」

 そのうちに大きなゲジゲジが出没して退治劇、グループさんご来場と忙しくなってこられたので源泉横穴の前で記念撮影をしてもらって心もカラダもあったまった私はルンルンで湯本駅に戻った。蜂蜜アイスクリームとお水を戴き電車に飛び乗って小田原駅へ。

 バス乗り場直結の地下街で女将さんお勧め海鮮丼で腹ごしらえ。帰宅後の朝食には小田原の蒲鉾を購入。

 乗り場が分かり辛くてヒヤッとしたけど金太郎号乗車!「おやすみ」
 

 連載13回目にして5泊5日「女描き絵師の箱根一人旅」無事にに千秋楽を迎えました。「これにて一件落着~❗」ですが、絵のご縁で結ばれた素敵な和泉女将さんと文通が始まり?続きは⑭番外編でお会いしましょう!一気にこのままアップしますね。

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