玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

甲状腺癌の手術をされる方へ

手術から8年がたち、再発騒ぎの腫瘍もこの3年間変化がないので、エコー検診が1年に一度でよくなりました!
2008年12月22日の前夜。憔悴しきったステージ3の「まな板の上の鯉」状態の私に、酷な内容を詳細に書かれた難しい同意書に、当然の流れ作業のようにサインを何枚も求められパニックになったことを思い出す。
がらんとした部屋で、たったひとりでペンを持ち、悲鳴とあきらめと祈りの渦の中にいた。今さらそんなことを念押しされても・・という捨て鉢の気分でサインしたものの眠れない。消灯後、寒くて暗い廊下の公衆電話から、同級生のホームドクターに半泣きで電話した。「給湯室に、僕は三回目・・というフランケンシュタインのような患者さんがたくさんいてはって・・もう、いやや。」
大半の甲状腺ガンは、若いときには進行が遅いが、中にはあっという間に死んでしまうたちの悪いものもあり、それらの顔を見分ける作業は、患部を開けて直接搾取して病理検査をする判断できないこと。抗がん剤もないし、放射線治療も効かず、手段は、転移したリンパ節の中から目視でガン細胞を一個一個丁寧に取り去る手術しかないと、いくら説明されてもチンプンカンプン。だって、甲状腺自体が体のどこにあるのかも知らなかったんだから!
今でこそ、自分なりに勉強してわかるけど、告知は青天の霹靂、死なないと判っていても笑顔で受け入れることなんて無理。
医療訴訟を恐れる病院の立場を考えれば、「わたし、失敗しないので」のドクターXでない限り、最善は尽くすけれど最悪の場合を想定しての必要な手続きなのだ。
手術せずに放置しておけば、甲状腺の機能が完全にダウンして死んでしまう。他のガンと違って、年齢とともに進行は早くなり、肺や骨に転移することもある。選択岐は、執刀してくださる外科医にお任せするしかないのだ。
もしも今、当時の私のように嘆き悲しんで落ち込んでいる患者さんが、このblogを読んでおられたら、ちょっとだけ勇気を出して素直に「笑顔の鯉」になって欲しい。大丈夫、一晩だけ頑張って!
ベッドの上で半固定状態で辛抱したら翌日のお昼には食事もできるし、5日たったら痛みにも慣れる。来週になって許可がおりれば、入浴も退院もできる。
首の傷跡も、半年もたてば直視できるようになるし、3年もたてば綺麗に目立たなくなって、襟なしドレスも堂々と着られるよ。
難しいことだけど、なぜ自分がこんなことになったのかと責めたり、原因理由を問い詰めず、ありのままを受け入れて欲しい。事故や天災と同じなのだ。笑顔で1歩づつ、一緒に命の道を有難く歩いていきましょう。いつでもメール下さい。info@kakie.jp

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