玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

秋の気配と鍋島染め付け

私は、土はさわらないので、残念ながら焼き上がった器に上絵付けしかしませんが、素焼きに呉須のブルー1色の濃淡で描いてから透明の釉をかけて焼き上げた鍋島の染め付けや、渋い紫、金茶、赤、深い緑の色合いが美しい古九谷が好きで、今でも憧れています。
鍋島の本物を見たくて佐賀へ行ったことがあるのですが、痴陶人という個性的な作家の作品は、自由奔放でのびのびと、とてもおおらかで民芸のようでした。京都で河井寛次郎などの影響を受けたと知り、なるほどと思いました。
作品が大英博物館で展示された陶芸家だそうですが、当時、日本ではあまり知られていませんでした。彼の作品を見初めたジョンスミスは、青海波の紋様が緑で描かれ、筆跡が残っている滲みを個性的で美しいと評価したのです。作品を技術を伝える伝統工芸ではなく芸術としてみる目を持つキュレイターは、なぜ彼が認められてこなかったのかと不思議がったと当時のコメントにあります。
私もちょっとでも近づきたくて、新しい上絵の色合いや筆づかいを研究中です。早くも来年秋の個展に向けて始動しました。

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