玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

琳派400年と私

京都は『琳派400年記念』で盛り上がっていますが、3月24日〜29日北山のギャラリー翔で開催する『第6回玉城和美描き絵空間展』でも琳派を意識した作品をいくつか展示します。例えば、陶器の絵付けでは、江戸時代の色絵皿から題材を頂き私流にアレンジ。赤、群青、緑、金茶色を多用し、野菜を大らかな曲線でデフォルメして描きました。
改めて思い返すと、不思議なのは、私の美意識や「いいなあ」と思う感性が、大学の講義や実習、文献による自主研究で『琳派の意匠』を学んだり、光琳、抱一、若冲など大好きな絵師の作品を知る前に、私自身の中で既に息づいていたということです。大変おこがましいですが、創作観点が似ていて感激しました。四角四面の美術画も伝統工芸も素晴らしいけれど、もっと気軽に衣服や生活雑貨に描きたい、美しい絵をまとって暮らしたいという衝動。
私は下鴨の葵学区で生まれ育ちました。幼い頃から紙と鉛筆でお絵かきするのが好きでしたが、質素倹約、実直で勤勉な両親のもと、家族みんなで美術館に行くというというような体験もないので、原点は「京都という町」で、「1960年代からの普通の暮らしの中」に、「ハイレベルな琳派の意匠をつけたモノ」が満ち溢れていたということになります。これぞまさに琳派の特徴そのもの、美的生活向上のために、一流の絵師たちが何のためらいもなく、工芸品にその筆をふるい、定番の人気意匠は人々につかわれながら、脈々と受け継がれていったという表れなのだと私は思います。
そして、もうひとつのラッキーは、父が西陣織の製造卸会社で働き、「美しく面白く締めやすく、売れる帯」をつくる仕事をしていたということでしょうか。

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