玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

アスカ製薬とチラージン

甲状腺ホルモンが自力で分泌できなくなると、チラージンという小さな錠剤を一日一回、一飲み続けなければなりません。もともと体にあるものを足すだけなので、副作用は一切なく費用も安価です。私は甲状腺の右葉だけ切除したのですが、ベースに橋本病があるのを知らずに生きていたので、左葉が健気に働いてくれても間に合わず、半年ぐらいで体に蓄積されたホルモンがなくなり、めまい、たちくらみ、きうつ、体重増加、朝起きられない、息切れ、顔のむくみ、低体温などの辛い症状が出ましたが、血液検査に反映してくるのは、それからさらに3ヶ月後で、その間は放置状態、術後の回復が遅れてとても苦しみました。
「やっぱりチラージンを飲まなければなりませんね」と告げられたときには、ホルモンが渇ききっていて体は悲鳴を上げていたので、「これで楽になる!」とほっとしました。以来、3カ月おきに血液検査、段階的に量が増えて、二年後にはやっと自分の適性量が落ち着きました。75マイクロミリグラムという僅かな量です。
ようやく落ち着いてきたところで震災。日本でチラージンを作っている製薬会社は、アスカ製薬ただ一社で東北にあります。ラインが一時ストップ、供給が間に合わなくなるとパニックになったのですが、何十万人という患者の命綱で、こどもの甲状腺機能低下症は難病指定されているぐらい大切な御薬。厚生省が動いて、全国の病院に、30日分以下の処方にすること、ドイツから緊急輸入して、最悪の場合に備えることなどの対応が迅速にされました。この混乱は夏過ぎには収まるだろうといわれていますが、いままでは3ヶ月に一度の通院でよかったので、いろんな意味で患者にも病院にも保険にも負担がかかかります。
お水のペットボトルや缶詰の買いだめと同じで、独り占めはいけませんが、御薬手帳と手持ちのチラージンをいざというときの持ち出し袋に加えました。

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