玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

ロングバケーション 広島

竹原が、有名なアニメで人気の地だとは知らなかった。確かに、広島から呉線で海岸沿いを揺られていく景色がとても美しく歴史保存地区の町並みは絵になる。昔は塩田で栄えたそうだ。そして、いまは少なくなってしまった日本酒らしい辛口酒を丁寧につくられる竹鶴酒造は、ニッカウヰスキー創始者のご実家で、来期のNHK朝ドラの舞台となる。小さな町はその話で持ちきりだった。酒かすの入ったおいしい竹原お好み焼きを頂いて、市内へ戻りいよいよ美術館へ。
広島には大きな美術館がたくさんあって、特にひろしま美術館の常設展示は、フランスの印象派など美しい絵画が充実している。被爆者の方々にいつでも気軽に、ハイレベルの芸術と親しんでもらいたいというコンセプトで広銀コレクションをもとに建てられた。展示方法もヨーロッパに似ていて、ガラスケースや囲いが少なくおおらかに鑑賞できた。県立美術館は日本画や墨絵が多く、尾道平山郁夫展を開催していると聞いて、最終日に足を延ばしたのだが、期待通り圧巻であった。人の好みというものは年齢や気持ちによって変わるもの。聞きかじりの印象から作り上げる先入観や、食わず嫌いで頑固なのは私の悪い癖なのかもしれない。
生まれつきの甲状腺機能低下症、元気の源である甲状腺ホルモンが出たり出なかったりする免疫不全の病がベースにあって、甲状腺癌の転移再発と一生つきあっていかねばならないお一人様の絵描きは、自由である。が、いつも穏やかに笑って暮らすことは正直難しい。おまけに感情の波、起伏の激しいアーティスト気質とくれば、落ち込むこともあって当たり前。だけど、この体と私の五感でしか生み出せないモノもある。次の個展が無事に開けたら、大好きな岡本太郎と会うために、またゆっくりと広島へ遊びに来る!「未知への不安感ではなく、いつも新鮮な好奇心を」

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